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2021年10月25日 (月)

新しい自営農業をしている良さは何ですか?

先日、同期経由で学生さんからの質問をいただきました。

「若い人の農業離れをなくすためには」をテーマとして学習されているのだとか。

おお!!若い方が農業に着目された!!

というところに喜びを感じましたhappy01

若い人の農業離れをなくすために

農業の姿は どうあるべきか、、、

「〇〇の姿はどうあるべきか」という問いで

「べき」の答えは、人・立場でそれぞれ変わるものと思いますが、

私の感覚からすると、

個人が新しく農で起業するチャンス、自由度が見つけられる世界であるべき。

個人の手の届くところに、小さな隙間が見つけられる扉であるべき、

となるのかな、、、と思います。

それはさておき、

私にいただいたご質問はというと、

「新しい世代の新しい自営農業についてもヒアリングしたく、目的、目標、メリットは何ですか?

もっとこうなってほしい、消費者に考えてほしいことはありますか?」

というものでした。

新しい世代、、という立場で回答することに後ろめたさを感じつつ、ありがたくお言葉を頂戴いたしまして、

新規に農外から参入した廣田たちがしていること

新しくはじめたものによる自営農業についての回答としてまとめるためにも、

目的、目標、メリットを綴ってみたいと思います。

まずは、順番は逆になりますが、

とっつきやすかったメリットから。

つあげました。

「メリット1」

やっぱり、なんといってもコレ!

自分が安心して食べられる生産方法で育った

自分が幸せを感じられる味わい、旨味をもつ野菜を食べることができること。

→当たり前ですが、自分で自分が最高!と思う安心さ、美味しさを追求して

栽培しているので毎日、試食を兼ねて堪能することができます。

うちでいうと、お薬を使わずに生態系バランスを整えることを意識して

最高に美味しく育つ環境づくりに日々、奮闘しています。

こんなことに毎日集中、専念できるのは独立自営農業だからこそ、だと思います。

こんな野菜、農産物を手に出会うことは

札幌でサラリーマンをしていたときにはできなかったので

ありがたみ、幸せを実感しています。

農のことがわかってきて、

玉子、肉、ミルク、野菜、いろいろな生産者さんがいて

どんな風に育てられているのかが想像することができるようになったので

もしかしたら、今なら札幌で暮らしていてもお取り寄せで満たすことができるかもしれませんが(笑)

でも、自分基準で最高!と思う育てられ方、最高の食べ時・旬を最も逃さない手段は

自分で育てる、でしょう。

「メリット2」

丸ごといただきます!

自分の仕事の成果を自分で丸ごと直接受け取ることができて、全部自分に積みあがる

→仕事の成果とは、お客様の喜びの声です。

「ほかのトマトは食べられなくなった」

「ほかの〇〇」じゃなくて、廣田さんのじゃなくちゃ!!なんて、

言ってもらえる仕事ができる。

仕事の喜びは、仕事をして喜んでもらえることなんだと思います。

特にうちは、お客様に直接お渡ししているので、間接的でなく、

ありがとうを直接(リアルであれ、ネットを介してであれ、)受け取れます。

こちらこそありがとう!も直接お返しできます。

あの人と私。

愛情のダイレクトネットワークを築き上げることができます。

これを財産といい、幸せっていうんだな、と日々感じます。

例えば、法人さんだと、個人にというよりも法人さん

法的人に、もしくは創業者、現経営者に積みあがるのだと思いますが

個人に、リアルな人、私に積みあがるのが個人経営のすばらしさ、魅力だと思います。

「メリット3」

仕事も手づくり!自分にぴったりオーダーメイド!

今の自分に仕事を最適化できる

→自分の暮らし、自分の体力、自分の志向、自分を取り巻く環境、自分が生きている時代背景、これらは常に変わります。

自分で自分の仕事をつくっているので、仕事の内容も分量も自分で決められます。

この仕事は体力的にきつく感じるようになってきた。

ならば、

違う、今の体力にあった作物を育てればよい。

最近、この作物に飽きてきた。

ならば、

今の自分が求めている作物を育てればよい。

それができるのも、自分で育てて自分で販売しているから。

今の自分が本当によい、と思っているものを、

直接、おススメできる、自分に近い感性の方と共感しあえる関係性があればこそだと思います。

また、仕事に軌道修正する必要を感じた時に即座に判断して変えていける、最適化できる。

自分に最適化できるというのは雇われではない、個人事業主としてのメリットだと思います。

つい最近、愛犬を看取ったのですが、

それまではシニアの愛犬の豊かな暮らしも実現できる仕事環境づくりをしました。

そんなことも、自分の一存、やりかた次第でできる、最高の生き方、仕事だと思います。

(ミヒャエル・エンデの「モモ」という物語にも、数字には表れない大切なものとして床屋さんのインコがでてきました。

とっても共感します。)

そして、農で起業の背後にある

目標は、、

「手づくり民主主義」です。

国レベルでの民主主義をどうこうするというのも、もちろん大切です。

ただ、自分の暮らす地域、地方自治体、またはコミュニティで、

自分の手でつくっていけている、そんな実感が大事だな、と思うようになりました。

まずは、地域社会から個人レベルでできる手づくり民主主義をできたら、と思っています。

それには、まず、地域に根差して生きたいと思いました。

雇用されて生きるタイプで生きていた経験では、仕事の都合で転勤の可能性があって、

せっかくついた根っこを引き抜かれるような感覚がありました。

その感覚は子どもの頃に何度か引っ越し、転向を経験したことも影響しているかもしれません。

同じ札幌市内でも、自分や同僚の勤務地が変わると、人も変わって、関係性を新しくつくりなおしになります。

ごっそり入れ替えられてしまうこともあります。

移動ってなんとも切ないな、と思っていました。

農業は、まさに大地に根をはって、その場で生きて暮らすことによって

地域に居続けることができます。

この根をはっている感覚が心地よいのです。

そして、だんだんと地域のことがわかってきて、

この人には、こんなことをしたら喜んでもらえるかな?

元気になってもらえるかな、と思えます。

私は、ここにいるよ!

あなたは、ここにいるね。

その安心感。

そこに、いる。

それがあるからこそ、

大好きなこの地域の大好きなあの人やお世話になっているこの人の顔が浮かぶ。

そして、この地域を楽しく、笑顔にできることを、自然に想像して、やってたいという想いが生まれてきます。

それが、仕事のモチベーションにもつながります。

仕事が楽しい、地域が好き、地域を楽しくしたい。

このループが生まれるのは地域に根をはっているからこそ、だと思います。

あちらこちらへ移動させられると、適応するのに精いっぱい。

自分から、当たり前のように、既にそこにある地域を、どうこうしようというエネルギーがわいてくるまでに、

どうこうするための資源を把握するのに

どうこうしたいという愛情が満タンになるまでに、

時間がかかりすぎてしまいます。

いちいち、自分以外のタイミングでリセットされない。

個人経営農のよさだと思います。

そして、自分の想いひとつで行動を起こせるのも個人経営のよさです。

今、幸せなことに、地域のみなさんと、どうしたら、住民の意見を住民で話し合えるかなという話し合いに参加させてもらっています。

小さな農家の少ない農産物ですが、十勝の地ビール醸造家さま、地域の書店様、地域の飲食店様のお力をいただいて、地域のみなんさんと楽しめる機会、ビールイベントを開催することができました。

ごくごく小規模ながら地域のふるさと納税にも関わらせていただくことができました。

ほんとうに微力ながら無力ではない、ということを実感させていただいて幸せです。

余談ですが、、

先日、農業をはじめようかと思っているという若い方が来られました。

ご実家が農家であったが、事情があって離農し、今は他で就職しているが、貸している畑で始めようかと。

お話しているうちに、就農することで

地域を大事にしながら地域で起業して盛り上げることができるというのが一番大切ですよね!と盛り上がりました。

そういった気持ちのある個人が、地域にいる、楽しい地域づくりにチャレンジされるかと思うとわくわくします。

地域に暮らして主体的に経済活動、生業を軸とし自立ながら、いろいろな方と楽しく地域づくりすること、それを、私は手作り民主主義と呼んでいます。

目的(ゴール)は、というと、

依存せず、自立した個として持続可能で豊かな生き方をする、になるのかな、と思います。

そんな生き方ができたら素敵だと思っていますし、

そんな風に生きる人が増えたらいいな、と思います。

自前で用意した仕事、生き方なので、リスクも当然、自分持ちです。

でも、生きていることの基本はそうなんだろうと思います。

そして、

「もっとこうなってほしい」こと

「消費者に考えてほしい」こと

は、、

生きるために必要なことは、

自分の命、

命を支える身体

身体を支える食

ということで、

食を大切にしてほしいな、と思います。

食にお金をかけることは、エンゲル係数が高い、といって

貧しさの象徴、のように思われがちと思います。

でも、数ある選択肢の中から、

食にこそ、意識してお金をかけることが

豊かさではないかと思います。

また、

今では、大量に売っているもので

〇〇風調味料など、

〇〇風〇〇という格安の食べ物が増えています。

食べ物は、

もとは、

自然の厳しさの中で生き抜いた命そのもの、だったものが、

工場で作られるような工業製品化しています。

どれも同じ顔をしています。

ビタミンCとして売られているものと、ジャガイモに含まれるビタミンCは似ていますが、違い、

ジャガイモに含まれるビタミンCとほかの野菜に含まれるビタミンCも、似ていますが、やはり違う。

自然の力は人間が科学的に観察・検証できたものの範囲だけでは語り聞けない深さをもっています。

Aさんが育てたトマト、とBさんが育てたトマトは、味が全然違います。

Aさんの味、Bさんの味、と同じトマトと呼ばれるものも実は多様なのです。

ぜひ、五感で違い、トマトの多様さを味わってみてほしいと思います。

自分の顔で、名前で販売している生産者のみなさんは、きっと見つけてくれるのを待っています。

いえ、待っていないで、出会えるように、小さな旗を振り振り、がんばっていると思います。

私のように。

どうか、たくさんの生産者出会い、お気に入りを見つける旅をしてください。

きっと小さくても幸せの循環が生まれると思います。

小さな循環、渦がたくさん生まれると、大きなうねりになって食の世界が変わってくると思います。

のっぺりと同じ規格で同じ企業の物ばかりしか手に入らない世界になりつつありますが、それは、つまらないなぁと思います。

特に食の、農産物の個性豊かさを知ってからは。

うちの農業では作物、そして小さな存在、微生物や虫、ウィルスでさえも、

それぞれが大切な役割を担っていいると考え、多様性を大事にしています。

農業でも、規模の大小、農業者個性の多様性が大事で、それも農の世界の豊かさだと思っています。

多様性と豊かさは似ていると思います。

人間の健康、命も、見えない生命力や普段意識しない見えない常在菌の働きなど、

わからない多様なものに支えられて奇跡的に維持されています。

わからない、ということの存在も、わからないなりに、大事にするという考え方も

大切にされる世界であってほしいと願っています。

求められていませんが、

オススメ、共感した本は

長尾正克さんの「ジャスト・プロポーション」

杉山経昌さんの「農で起業する!」

です。

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全然まとまりがなく、申し訳ありません。

自分のことを、把握する、説明することが

いくつになっても難しく、できるようになりません。

問いかけをいただいたからこそ、

己について考えてみて

アウトプットにチャレンジすることができました。

感謝いたします。happy01

長文にお付き合いいただきありがとうございましたconfident

もう少し端的に表現できるように精進いたしますhappy02

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