客観視して見えたもの ~ るうびいちゃんのお散歩
るうびいちゃんをお迎えした当初のことを綴ります。
実は、るうちゃんとお散歩しているときに、これまで生きてきて味わったことのない、悲しい気持ちになることが、ときどき、ありました。
(お散歩中に限ってです。)
それは、、
ただ、お散歩しているだけなのに、
通りすがりの人から怖れられたり、威嚇されたり、嫌がられたりといった、ネガティブな感情や言葉を向けられたことです。
そのたびに、悲しみに包まれながら、
心の中で、
「ちょっと強そうに見えるかもしれないけれど、、
この子は、とても大人しくて、怖がりな女のこなんです!!」と言いたい気持ちになりました。
(犬好きなの方には温かく見守っていただいていました)
先代の看板犬、ホップくんとのお散歩では、通りすがりの人は皆、温かく優しい瞳で見守ってくれました。
ホップくんは、ぬいぐるみのようなフワモコな容姿で、よちよちと歩くトイプードルのシニア犬でした。
シーズー、マルチーズのワンちゃんとの散歩のときも、みなさん、優しい表情で見てくれていました。
それが、るうびいちゃんのときは、、、
初めて向けられる眼差しでした。
ちょっと大きめで、大人顔で、シュッとした身体つきの元気な狩猟犬だと、
こんなにも厳しい目で見られるのか、、、
見た目で判断するなんて、、
見た目で判断されるなんて、、
怖がられるなんて、、
ううぅ、、
悲しい、、
かわいそうな るうびいちゃん、、
と、思ってしまいました。
自分が抱えた悲しい気持ち、
自己憐憫をしっかり味わうことで、
その後に生まれてくるのは
自分の気持ちを一旦、棚にあげてみる心の余裕です。
自分を客観視できるようになりました。
自分の立場を離れ、相手の側に立ってみると、見えてきたものがありました。
それは、こんな景色でした。
目をギンギンに光らせ、ダラリと舌を垂らして、激しい息づかいをしながら、リードを引きちぎらんとする勢いで、猛烈に突き進んでくる、見るからに危ない犬です。
あまり人里では見かけないタイプの、山奥から出てきた獣感。
例えるならば、バイオハザードのゾンビ犬のような危なさです。
この生き物が前方から、限られた道幅の歩道で迫ってきたら、人は本能レベルで危険を感じてしまう。
そんな景色でした。
一方、私の視点から見えていた景色は、
一生懸命に進む、るうびいちゃんのがんばる背中と、
喜びいっぱいフリフリするしっぽ、
そして、パタパタゆれる可愛いお耳。
ああ、なんてラブリー。。
という感じでした。。。
視点を対向者に戻します。
前方から勢いよく向かってくる危ない犬。
しかも、さらに危険なことに、
その危ない犬の手綱を握っているのは、犬のエネルギッシュさと不釣り合いな、
とても頼りになりそうもない飼い主です。
危ない、危なすぎる。
これは怖い。
通りすがりのみなさんの反応は当たり前だ。
自然な反応だ。。。
ここで、ようやく気づくことができたのでした。
そういえば、この頃の私は緊張感をもちながらお散歩していました。
飼い主なのにリラックスではなく、緊張しながら歩いていることも不安感をもたれる一因だったかもしれません。
どうして緊張していたのかというと、この頃のるうびいちゃんは、まだ自分の名前もしっかりと認知しているか怪しく、
自分の家も恐らく覚えていなく、、、
もしも私がうっかりリードを手放してしまったら、どこまでも突き進んで、交通事故にあってしまいそうだったのと、事故にあわずとも、どこへ向かうのか見当もつかず、二度と戻ってこないだろうし、保護するのも相当難しいだろうと思えたからです。
このリードを絶対に離してはならない、、、、という緊張感をもちながら、手首に食い込むリードを痛くならないように微妙に持ち替えながら競歩くらいのスピードで歩いていました。
ところで、
いつもは大人しくて怖がりなはずの、るうびいちゃんは、どうしてそんなに猛烈に危ない歩き方になってしまうのでしょうか。
おそらく、うちに来たばかりの頃は、まだ、お散歩に飢えていて、お散歩の機会が貴重すぎて、嬉しすぎて、必死になりすぎてしまっていたのだろうと思います。
ただ、嬉しくて、はりきり過ぎていただけなのですが、
その顔つき、動きが、常軌を逸していて、
それが、桁外れな危なさを醸し出していたのでした。
なんとか、できないかな、、
なんとかしてあげたい!
できそうだな!と思いました。
まずは、見た目を怖そうなワンちゃん、じゃなくて、
オシャレなワンちゃん、にしたらいいのでは?
と、考えました。
オシャレでお手入れされているワンちゃんは、少し危なくなさそうに見える、はずだ。
衣裳でどうにかしよう!
似合うのは赤とか、はっきりした色だけれど、赤には攻撃的なイメージもあるから、ピンク!!
よし!
ピンクのバンダナを巻こう!!
などと、見た目を少しでも可愛く作戦を展開しました。
これは少し効果があるように感じました。
それから、
るうびいちゃんが、お散歩にガツガツしなくなるまで、お散歩欲が満ち足りるまで、たっぷりとお付き合いする作戦。
連日、何時間も、るうびいちゃんが飽きるまで付き合ってみました。
一日三回散歩してみました。
できるだけ、一緒に外で過ごしました。
すると、それまでは犬ぞりか!というくらい、常に全力で引っ張り続けていた、るうびいちゃんの引き癖が、少しずつ、緩くなってきました。
それから、散歩中に、るうびいちゃんの背中に向かって、できるだけ話しかけ続けました。
他者の存在を意識してもらうためです。
一人じゃなくて、誰かと一緒に歩いていること、他者を意識しながら歩くことができるようになってもらうため、周りの人を意識してもらうためです。
これで、見た目の印象が変わってきたのかもしれません。
今では、ついに、通りすがりの人に
「かわいい!!」とか、
「綺麗なワンちゃんですね!」と
声をかけていただけるようになりました!
もう、
可愛く見えるバンダナなしでも、
つまり、小細工なしでも、
怖がられることなく、むしろ、ニッコリ優しい目で見ていただけるようになりました。
とても嬉しくなりました!
もうひとつ、したことがありました。
るうびいちゃんが、愛されている自信、大事にされている自覚、守られているという安心感を持つことができるように、家にいる時はいつも、「かわいいね。大事だよ。愛してるよ。」と話しかけました。
目つき、顔つきが柔らかくなって、表情が豊かになり、
落ち着きも出てきたように思います。
やっと飼い犬らしくなったなぁ。
家でくつろぐ、るうびいちゃんの表情、態度を見ていて
最近、しみじみ思います。
るうびいちゃんから、愛されているオーラみたいなものがにじみ出てきているのでは、と思います。
人も、犬も、
心に余裕をもつことの大切さを実感しました。
人も、犬も、きっといくつになっても変わることができる、そんな気がしました。
今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
追記
るうちゃんの首周りは毛が薄く、その部分に生えている毛は白髪になっています。
お迎え当初から、そうで、今ではわずかに、毛量が増えてきています。
10歳までの10年間、首輪(チョークチェーンかな)を引き続けてきたのだろうなぁ、
首周りに負担をかけ続けてきたのだろうなぁ、と思います。
少しずつ、生えてくる毛が長くなってきて、近頃、位置が首周りから肩の近くへと下がってきています。
回復してきているようで嬉しいです。
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